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Golden Hearts Publicationsこぼれ話〜こだわりとニーズの溝

※この項目ではブログに書いていた連載「Golden Hearts Publicationsこぼれ話」の内容に追加修正を加えています。

前回少しお話しましたが、最初はディートリヒ・ヴァンアケリェン氏とのディスカッションを経て、そして印刷会社を見つけて、スコアの用紙を目に優しく肌触りも良い「ビオトープ」を使うことで事業を始めました。

ですがこれが全然売れない。ビオトープを使っていないB5やA4サイズのポケットスコアや、安価なアンサンブル譜は少しだけ売れました。

もちろんプロモーション不足もありますしサンプルを作って十分にお配りする資金もなかった(今でもない)ので、その辺りも関係しているかもしれませんが、さすがに何か月も売れない日が続くと、「これって求められてないんじゃないか」という気分になってきます。

売りたいものと、お客様が欲しいもの、つまり「こだわりとニーズの間に溝がある」という状態ですね。楽譜に限らず、ハイスペックな製品を作りたい、そしてそれを提供したいという生産側の想いと、実際に使う側が求めている製品スペックの間に大きな隔たりがある場合があります。SACDとかブルーレイオーディオみたいなもんですかね。欲しい人はいるけどかなりニッチになります。

Golden Hearts Publicationsで言えば、それが楽譜の用紙スペックにあるのではないかという風に考えました。潜在的か顕在的か、人によって様々ですが、「小さい楽譜は読めない」というのはまあ共通としてあるだろうなとは思っていました。だからといって未許諾のコピーを認めているわけではないですよ。当たり前ですよね。

ですから実際に使用するスコアのサイズはB4かA3、ここは譲れないわけです。ここはニーズどうこうの問題だけではなくて「違法性があることを認識しないでコピーしている」という現場の情報がちょくちょく入ってくる以上は、出版社として対応すべき問題です。最初から大きいサイズで販売すれば違法コピーを(知ってか知らずか)する必要もないわけですからね。

ちなみに法的には本人がそれを違法かどうか知っているか知らないかは関係ありません。なのである日突然民事請求だとか刑事罰とか食らってもどうしようもないわけですね。

そうならないために、お客様を守るためにも、拡大コピーしなくても良い状態で販売する、というのは重要かと思います。

なのでそれはよほど段数が少なくてA4スコアでも演奏(指揮指導)に支障がないということであれば考えますが、そうでない限りは、やはり大判で。

そこでニーズとの乖離があるとすれば「ビオトープ」とその価格だろうな、というところに一旦落ち着きました。ビオトープ、是非使ってほしいのですが、バンドの予算もあるので、そのあたりのニーズとマッチしないのでは、ということですね。

「高級な見やすいスコアなんていらないから安い方がいい」というニーズ。これにどう寄せていくかが課題でした。すでに付き合いのある印刷会社をいくつかあたりましたが、3社のうち2社は安く作れなくて、残りの1社でなんとか安価に作れるようになったので、現在の安価版につながっています。

もちろんこれは当初の契約にはなかったことなので、各作家さんに同意を得ています。

お陰様でだいぶ安く提供できるようにはなったので、バンドの予算内でやりくり出来るようになっている楽譜もあると思います。

ぜひ改めて色々とのぞいてみてくださいね。

他にもニーズとのズレってのはあるのかもしれませんが、ちょいちょい修正改善していければなあと考えています。
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